第一原発2号機のベント失敗 設計上の問題が原因か

Tepco

東京電力が20日付で公表した福島第一原発の事故原因に関する報告書は、2号機の格納容器の圧力を下げるために実施した、外部に蒸気を放出するベントが失敗した可能性が高いことを明らかにした。できる限り放射性物質の放出を避けるため、弁を開くだけではベントに至らない設計上の問題が裏付けられた形といえる。

ベントを妨げたのは、配管から放射性物質を含む水蒸気が抜けないよう設置された、ラプチャディスクの存在だ。ラプチャディスクは、ステンレス製の板で、格納容器の圧力が最高運転圧力に達するまで破裂しないよう設計されている。ベントで、高圧の水蒸気が配管を通る際にラプチャディスクが破裂し、水蒸気が外部に放出されるという考え方だが、実際には破裂しなかった可能性が高まっている。

日本原子力学会の澤田隆顧問(肩書は当時)は、2014年9月17日付で公表した資料の中で、2号機の設計上の問題を解説している。澤田氏が整理した2号機のベントの経緯は次の通りだ。

03月11日夜  ベント準備開始
03月13日11時00分  ラプチャディスクを除くベントライン構成完了、ラプチャディスク破壊圧に到達せず
03月14時11時01分 3号機水素爆発のため弁閉、その後弁開操作をするがベントの成否確認できず
03月15日11時25分 D/W(ドライウェル)圧力低下(格納容器漏えい)

Source:澤田隆「ベント操作の妥当性(主として2号機での対応)」(2014年9月17日)

澤田氏はこの資料の中で、「わが国では『放射性物質の大量放出に至るような事故は有り得ない』と信じ込み、従って『例え少量であっても放射性物質の放出は防ぐ(出来るだけ遅らせる)べき』との思想があったのではないか?」と指摘している。

ベントが成功すれば、高線量の水蒸気がラプチャディスクを通過するため、ディスク周辺の放射線量は高くなる。しかし、東電の調査によれば、ラプチャディスクの汚染は確認できなかったという。

ベントが失敗したことで、2号機の格納容器は破損し、放射性物質が大量に外部に拡散した。


東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県の泉田裕彦知事は20日、自身のツイッターで次のように述べた。

福島原発2号機のベント失敗の原因として、ベント弁を開けるための圧縮空気を送るCクラス配管が損傷していた可能性が指摘されています。明確な原因究明と対策を行っていただきたいと思います。

Source:泉田裕彦新潟県知事ツイッター

 

国会事故調の報告書は、次のように指摘している。

「事故は継続しており、被災後の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という)の建物と設備の脆弱性及び被害を受けた住民への対応は急務である」と認識する。また「この事故報告が提出されることで、事故が過去のものとされてしまうこと」に強い危惧を覚える。日本全体、そして世界に大きな影響を与え、今なお続いているこの事故は、今後も独立した第三者によって継続して厳しく監視、検証されるべきである(提言7に対応)。

Source:「国会事故調報告書

Source:東京電力「福島第一原子力発電所1~3 号機の炉心・格納容器の状態の推定と未解明問題に関する検討第3回進捗報告」(2015年5月20日)